3両目の王子様 【短編】




俯いていたあたしの頬に、冷たい何かが触れた。


彼があたしの涙を拭いてくれた。



全部、夢みたいだ。




顔を上げる。

彼と目が合う。


いつものあたしなら目を逸らしてしまうところ。


今は逸らせなかった。



彼が見るから、あたしも見る。

まわりの音なんか気にならない。
聞こえない。






「…見つけた。」