俯いていたあたしの頬に、冷たい何かが触れた。 彼があたしの涙を拭いてくれた。 全部、夢みたいだ。 顔を上げる。 彼と目が合う。 いつものあたしなら目を逸らしてしまうところ。 今は逸らせなかった。 彼が見るから、あたしも見る。 まわりの音なんか気にならない。 聞こえない。 「…見つけた。」