「あ、ゆめ。髪型いいね。隼人にやってもらったの?」

「あ、いいえ。自分でアップにしました。不器用なので汚いですけど」

亮がゆめの髪の毛を触るとそのままほっぺに手をやった。

顔と顔の距離が近い。こんなこと初めてだ…。
なんなんだろう…。

ゆめがそう思っていると隼人が来てその手を掃った。

「お前ちょっとこいよ」

隼人がゆめを呼び出すと、何も言わずに髪の毛を整えた。

「私がしたのとえらい違いで器用だもんね…。そんなに汚かった?」

何も言わずにうなずくと、ゆめの両肩に手をおいた。
ゆめは首をかしげた。
周りからは恋人がキスするみたいに見える気がしたゆめは顔を手で隠した。

今までこんなことなかったし…。

ゆめはペコっと頭を下げて、急いで部屋に戻ろうとした。
すると腕を掴まれて耳元で「あいつには近づくなよ」とささやかれた。

「な、なんで?」

少し笑った表情を見せた隼人はすこし悲しそうな顔にも見えた。
何も言わずに自分の部屋に戻って行った。