「うさぎ!一緒に帰ろうよ」


「あ、ごめん。夕飯の買い物行かなきゃ」


「あー、そっかそっか。じゃあまた今度ね!」


「うん!またね、沙久!」


HR後。
掃除も終わり、生徒が部活や自宅に向かうもののなかに、璃兎と沙久はいた。

変わらない台詞。
変わらない返事。

二人にとっては当たり前の会話だった。



璃兎の両親は放任主義で、家に居ることは殆どない。

そのため、璃兎はすべての家事を自身で行っている。

中学にあがると同時に両親は家を空けるようになり、すっかり高校生になり、もう家事歴4年になる。

高校2年の璃兎は遊びたい気持ちはあるものの、それもできずに結局いつも寄り道ができない。


―もう、慣れたけれど