「じゃあ、僕はもう帰るね。」


早く帰りたい。


…というか、とりあえずここを去りたい。


こんな、獅子堂 純なんかに惚れてる女の前で…

泣くなんて。

みっともなさ過ぎる。


しかも多分まだ泣き顔だ。


絶対今の僕の顔は見られたくない。


「…あの、理人くん。」


帰ろうとしたところで、葵ちゃんはまた僕を呼び止めた。


「何?」


まだ何かあるの?


「猫が…」


僕が振り返ると…



さっき助けた猫がついて来ていた。