「…いい加減頭撫でるのやめて。」


僕は葵ちゃんの手を払いのけた。


「えー!
なんでー!?
ワンちゃんみたいで可愛かったのに。」


「誰がワンちゃんだ!?」


っつーか…


僕も何、抱き締めたりしてるんだ!?


女の子に頭撫でられながら泣くとか…


だめだ、死にたい。

ダサ過ぎる。



泣いたのなんて、あの日以来で。

しかも、人前で泣くことなんて無かった。


なんで急に、涙が出たんだろう?



…でも、ただ安心したんだ。


僕のために怒ってくれる人も…


僕のために泣いてくれる人も…



僕の人生で、今までいなかったから。


初めてだったから。



だから、安心した。


自分という存在を肯定された気がして、嬉しかった。