「じゃあね、葵ちゃん。」


「…待って!」


あたしは思わず理人くんの腕を掴んだ。


「あ、えっと…」


つい勢いで引き止めちゃったけど、言う言葉なんて考えてない。


でも…


今、理人くんを一人にすることなんて出来ない。


「ははっ。
何その顔…同情してるの?」


「そんなんじゃ…」


「分かってるよ…
葵ちゃんは、”僕に同情してる自分”が好きなだけで、本当に同情してるわけじゃ無いことくらい。」


理人くんはそう言って微笑んだ。


「違うよ、理人くん!
あたしは…」


否定の言葉を続けようとした時、あたしは理人くんの背景が気になった。