父さんの部屋の前まで来て、ドアが少し開いているのに気づいた。 神経質な父さんが、ドアを最期まで閉めない… なんてことは考えにくい。 ”誰かいるんだ” そう思って、僕はこっそりと部屋を覗く。 「…で、あいつには会えたのか?」 「はい。 お仕事は辞められていたもので、仕事場にはいらっしゃらなかったのですが、ある幼稚園の前で偶然…」 父さんと、僕と一緒に日本に行った使用人が、一対一で話をしていた。