葵は、お粥をスプーンですくって、フーフーと息をかけて冷ました。


「はい、あーん!」


そう言って葵は、そのままスプーンを俺の口の前まで持ってきた。


待て待て待て待て!


「なんで俺が”あーん”されなきゃいけないんだよ!」


「だって、病人でしょ!?
風邪の時くらいあたしを頼りなよ!」


こいつ、絶対俺に餌付けしたいだけだろ…。


されてたまるか。


「自分で食えるから。」


俺がお粥を取ろうとすると、葵に取り上げられた。


「いいから!
口開けて!」


「…」


こいつはどうしても俺に”あーん”をしたいらしい。