「…ぅっ…」


泣くな、あたし。


早乙女は良いやつだし、モテるに決まってる。


分かってたことなのに…


すごく胸が痛い。




…告白してた女の子、可愛い子だったな。


サラサラのロングヘアで、華奢で、化粧とかしてて…

すごく、 ”女の子” だった。


早乙女には、きっとあんな女の子がお似合いだ。


あたしと早乙女が釣り合うはずない。


良かった、チョコ渡す前に気づけて。



「…帰ろう。」


あたしは、涙を手でふいた。



…って。


あ、れ…


紙袋がない。

早乙女に渡すはずだったチョコの入った紙袋が。


え、なんで!?


あたし、ずっと持ってたはずなのに…




ガラッ…



その時、教室のドアが開いた。


開けたのは…


「はぁ、はぁ…ここにいたのかよ…」


息を切らした、早乙女だった。