「…ん!」


「…ちゃん!」


「お姉ちゃん!」


「へ!?」


”はっ!”


…とあたしは我に返った。


いけね、ボーっとしてた。


今は夕食の時間。


今日は母さんが帰り遅いから、妹と二人でご飯食べてる。



「もー、お姉ちゃんったら〜!」


ぷう、とほっぺたを膨らませている妹。



『小牛田 咲(コゴタ サキ)』


高1の年子。

ふわふわのロングヘアに、アイドルみたいなバッチリメイク。

あたしとは対照的すぎるくらいに女の子の中の女の子。


「お姉ちゃん最近ボーっとしてばっか!」


「ぁ…ごめんごめん。」


最近ずっとこう。


気づいたらボーっとしてる。



”小牛田は可愛いよ。”


”偉いと思う、小牛田は。”


”無理すんな。
…少なくとも俺の前では。”



あの元旦の日に聞いた、早乙女の言葉がぐるぐるとあたしの頭を無限ループする。