先生の書いた黒板の文字を、黙って板書する。 「早乙女ー!」 横から小声で小牛田が俺を呼ぶ。 振り向くと。 ”あ” ”り” ”が” ”と” ”う” 口パクで、多分そう言った。 「おう。」 聞こえるか聞こえないか、そんな声で、俺は返事をした。 また、黙々と板書する。