教室に入った莉奈はだれかに抱きつかれた。


それは莉奈の親友の中で身長が一番小さい渡辺 あすか(わたなべあすか)だった。


「りなー誕生日おめでとう!」


「ありがとうあすか。」


莉奈はまだ赤くなっている自分の顔を冷やしながら、あすかの頭を撫でる。


あすかどうしたの?という声も莉奈の耳には届かずに、莉奈はそのまま席についた。


すると、2人の少女が近づいてきた。


1人は変な関西弁でショートヘヤーでスポーツマンの木内 明里(きうちあかり)、
もう1人はいつも本を読んでいる不思議ちゃん市ノ瀬 鈴加(いちのせすずか)、どちらも莉奈の親友だ。


「どうしたん莉奈、なんか顔赤いで。熱でもあ

るんやないの?」


「明里ちゃん、それは恋っていうんだよ。」

そう静かな声で明里に言うのは鈴加だ。いつもどおり片手に本を持ち、目は本に向いたままでいる。


「鯉?」

明里は、こういうことには疎い。スポーツに恋してる感じで、
今まで本当の恋を1度もしたことがない。


次に目にはいったのは濡れた汚い布を片手にぱたぱたと駆けてきたあすかだ。


「はい、りな。これで顔冷やして、真っ赤だよ。」


「やっそれ雑巾やし・・・。」


すかさず、明里がつっこみを入れる。