遠くでバシャバシャと数人の足音が聞こえた。
敵かもしれない。


王妃は王女を抱きかかえ、岩陰に隠れた。


「いたか?」

1人の男が問いた。


「いいや。こっちには・・・。」


「くそっ!どこ行ったんだ。」


「とりあえず、雨降ってきたしそこの洞窟に入りましょう。」


今度は女の声が聞こえた。


「そうだな。この雨じゃ当分見つからない。奴らもどうせ動けないだろう。」


足音が近づいてくる。王妃はどきどきしながら、息を潜め様子をうかがった。


肌黒い男と若い男、大人しそうな男とあと、女が1人いる。顔は月の光が逆行していて見えない。


さっきの男達とはまた違う、大人しそうな男が口を開く。


「王妃もこの雨でここに来るんじゃないか?子供を連れているようだし。」


「そうだな。そのとき捕まえようか。また、どっかに行かれると困るし。ちっ、せっかく戦えると思ったのに、あいつら探せって隊長が言うから戦えなかったし。まったく、とんだ災難だぜ。」


肌黒い男が言う。


「まぁまぁ、王女探せばこっちのもんだし。はやく探し出してあっちに参加すればいいじゃない。」


女がなだめるように言う。