次に降りた所は海の見える海岸通り。



昇ってくる太陽の光が水面に反射してキラキラと輝いてる。



こんな街でも綺麗と思えるものはあったのか。





「……」




あたしはその光から目を背けて歩き出した。





こっちの街でのいい思い出なんて一つもないし、今更綺麗だなんだって思ってもしょうがない。





あ、そういえば確かこっちの街ってあの族が一帯を締めてるんだっけ?




確か……“紅華(クレナイ)”。




結構な強者ぞろいって聞く。



だけど特に接点はないし軽く情報を知ってる程度。



対立してるワケでもないし関係ないかー。





お腹すいたなぁって思いながらブラブラと道を歩いていると




ガッシャーン!!




「ふおっ!?」



何々!?



ガラスの割れるような音にびっくり仰天。


変な声出しちゃった…。


それはともかく、……何?



音がしたのは脇にある細い道の向こう。



そして何やら怒鳴り声が足音と共に……




「……こっち来てる?」




近付いて来るのが分かった。



あっれー?何々ー?何が来んのー?




よく分かんないけどあたしの勘からしていいもんじゃないってことは分かる。



取り合えず隠れとこっ。



あたしは不法侵入だけで誰かさんのお家の庭に入った。



幸い誰もいない。




そこから様子を伺っていると、





「てめぇ待ちやがれ!!」



そんな怒声と共に一人の男が道から逃げるように出てきてその後ろからまた数人の男達。



見た目で判断するのはよくないけど……あの人達は多分あたしと同じ世界の奴ら。



なんかいざこざでもあったのかな?