レオくんを肩車している上原くんを見ていると心がキュッと切なくなる。


いつか、上原くんもこうやって自分の子どもを肩車する日が来る。


だけど、そのとき隣にいるのはわたしなんかじゃない。


別の誰かなんだ。


「唯?どうした?」


「お姉ちゃん?」


静かになったわたしを心配してふたりが声をかけてきた。


「あっ、ごめん!ボーってしちゃった。レオくん、ライオンかっこいいね」


明るくそう言うとレオくんはまたはしゃいで、わたしたちはしばらくライオンの檻から離れることはなかった。



一日遊びまわってはしゃぎ疲れたのかレオくんは寝てしまい、上原くんにおんぶされている。


「上原くん、今日はわたしのわがままに付き合ってくれてありがとう」


「いや、俺も楽しかったからいいよ。まぁ、あいつの頼みっていうのが釈だけど。…まったく、かっこ悪いな。俺」


「えっ?」


上原くんがかっこ悪いなんてことあるはずないのに、一体どうしたんたんだろうと首を傾げる。


「唯のこと、あいつから守る。なんてかっこつけて言ったわいいけど、結局いつの間にか唯が自分で昔の殻破いてる」


上原くんは立ち止まってわたしの目を見つめた。


その瞳は少し切なさを帯びていて。


「俺が知らない間に唯は強くなって、きっと…」


上原くんが何か言いかけたときに、上原くんにおんぶされているレオくんが目を覚ました。


「んー、パパ?」


「パパじゃない。おまえのパパはあそこ」


上原くんが指を指すとレオくんは嬉しそうに高井くんに向かって大きく手を振った。