さよなら、片思い【完】

「…サンキュ」


高井くんは恥ずかしいのか小さな声でそう呟いたけど、わたしにはしっかりと聞こえた。


「この家もさ、本当だったら俺の稼ぎならもっと良いところも住めるんだけどね。少しでも多く玲央に残したいから。今は節約でこのアパート。あと何年かして玲央がでかくなったら引っ越さなきゃだけど」


「いろいろと考えてるんだね。えらいね、高井くん」


「まぁな、父親だから」


あのガキ大将の高井くんの意外な一面が見れた気がした。


高井くんがだって悩みもがきながらも、一生懸命、レオくんと向き合っている。


高井くんがほんのちょっとだけかっこよく見えた。


「パパ〜。お姉ちゃんとお話し終わった?レオ、お腹ぺこぺこ〜」


隣の部屋の扉が少し開くとそこからレオくんがちょこんと顔を出した。


「あぁ、もういいよ。そうか、もうこんな時間か」


高井くんが時計を確認すると5時を少し過ぎたころ。


いろんなことがありすぎて時が経つのが早かった。


「唯、せっかくだし一緒にメシ食べてけよ」


「えっ、高井くん作れるの!?」


「悪いけどそんじょそこらの店より旨い自信あるから」


そう言って高井くんはキッチンへと向かった。


手伝おうとしたわたしに「玲央と遊んでて」と断られてしまい、玲央くんのお気に入りの絵本を読んであげる。


しばらくして、高井くんがお盆に乗ったハンバーグを持ってきた。


「わーい!ハンバーグだ!!」


玲央くんはよっぽどハンバーグが好きなのか両手を挙げて喜んだ。