さよなら、片思い【完】

ご飯を作る前にエプロンを取りに部屋へ戻ると上原くんが既に起きていた。


「おはよう、上原くん」


いつものように挨拶したけど上原くんはなぜか無口なままで。


普段、寝起きが悪い訳ではない彼を不思議に思った。


「…上原くん?」


「ずいぶんと充と仲良くなったんだね」


「杉田くん?さっき庭先で会って少し話たの」


そう言った瞬間、腕を引かれ気が付いたときには視界には部屋の天井と上原くんの表情。


上原くんに両腕を抑えつけられて身動きが取れない。


上原くんはわたしの首筋に唇を落とすと、チクリと甘い痛みが走った。


突然の行動に頭がついていかず驚いた顔をしたわたしを見て、


なにが面白いのかクスッと綺麗に笑うと「唯、おはよう」と頭を撫でた。


わたしの首についた小さな紅い跡をみてなぜか先ほどとはうってかわって機嫌が良くなった上原くん。


本当、軽井沢の上原くんは少しおかしい。


「先にリビング行ってるな?」


そう言って満足そうな顔をして上原くんは部屋から出て行った。


鏡を見るとやっぱり首筋には小さな紅い跡があって。


なんとかファンデーションと髪型でそれを隠した。