さよなら、片思い【完】

由香里さんの可愛らしいお願いに観念したのか上原くんは大きくため息をついた。


「..................」


上原くんの願い事、上原くんが小声で言ったからかわたしのところまで聞こえなかった。


「ふ〜ん、そうなんだぁ。哲らしいね」


由香里さんがからかうようにそう言うと上原くんは面倒くさそうに


「言ったからいいだろ。早く戻れ」


と言って由香里さんを追い返した。


由香里さんがいなくなったあと、上原くんがわたしのとこまで戻ってきてゆっくりとベッドに腰をかけた。


「由香里だったよ。唯、疲れてるだろうから寝てることにしたけど」


「そっか、ありがとう……。ねぇ、上原くん」


「なに?」


わたしも聞いたら答えてくれるだろうか。


「上原くんの願い事って何?」


しばらく黙ると上原くんは「秘密」とだけ呟いた。


由香里さんには教えてたのに、わたしには教えてくれないんだ。


「……ごめんね」


そう思ってしまうわたし自身の醜い心が嫌で小さな声で謝った。


「なにが?」


キョトンとした顔で上原くんが尋ねてきたけど
だけど正直に話す勇気はなくて、


「みんなが一緒にいるのにわたしがいるから残ってくれて。行ってきていいよ?」


咄嗟に出たわたしのセリフに上原くんは首を横に振る。


「唯と一緒にいたいんだ」


その言葉はわたしの先ほどまで沈んでいた心を簡単にドキドキさせる。


「上原くん……」


「ん?」


「大好きだよ」



由香里さんにはなれないけど、由香里さんよりも貴方を愛しているということを。


「ありがとう」


わかってはいたけどやっぱり彼の口からは愛の言葉は出てこなくて、


それでもわたしたちはまたお互い混ざり合い、偽りの愛の中に溶けていった。