「ねぇ、充!コレコレ、可愛くない!?」


「可愛いけどさ、女の子だぞ?それ、明らかに男物だよね」


「いいじゃん。買っちゃおうっと。あっ、これも可愛い!」


由香里のオフの日にやってきたベビー用品店。


品数が多くて迷ってしまう。


けれど由香里は欲しいものをポンポンとカゴに入れてしまう。


「お客様、何かお探しですか?」


頭を抱えてる俺の前に現れた店員さんが救世主に見えた。


「友人のところに子どもが生まれたのでそのお祝いに。いろいろあって悩んじゃって」


「男の子ですか?女の子ですか?」


「女の子です」


そう返事すると店員さんは一枚のピンクのよだれかけを出してきた。


「こちらは今オススメなんですよ。刺繍でお名前を入れることもできるので記念にもるなるんですよ」


そうニッコリ営業スマイルよろしくな店員に促されて由香里と相談する。


「いいじゃん!名前入れてくれるのって素敵!」


「この場で刺繍を入れることもできますので!」


女ふたりの迫力に負けて、じゃあそれもお願いします、とよだれかけも購入する。


「では赤ちゃんのお名前をこちらに記入してください」


店員さんが差し出し紙に記入しながらあいつが今まで見せたことのないデレっとした表情を思い出して笑いが溢れる。


「これで、お願いします」


【赤ちゃんの名前:上原 彩】


end…?