「ん?なに?」


「すごく可愛いよ。このままどこかに連れ去りたいくらい」


耳元で色気を帯びた声でささやかれ一気に身体中が熱くなる。


「もぅ…恥ずかしよ…」


わたしがそう呟くと哲くんは嬉しそうに笑い助手席に周りドアを優しく開けてくれた。


「唯ちゃん!久しぶりぃ!いやぁ、可愛いね!うん、いいよ。いい!」


助手席に座ると後ろの席を陣取っている大志くんが親指を立てながら褒めてくれた。


「ありがとうございます。あっ、加奈子ちゃんお元気ですか?」


「うん、今日は実家に帰ってる。また唯ちゃんと遊びたいって言ってたよ!」


大志くんは去年なんと合コンで知り合った3つ上の女性とスピード結婚をした。


大志くんの奥さん、加奈子ちゃんはいつもパワフルで明るくてよく遊んでもらっている。


「哲。これで残りもんはおまえと仁奈だけだな。いやぁ、学生のときは哲が一番モテてたのにな」


一番、という単語を強調しながらニシシと後ろの席から哲くんを煽る大志くん。


確かに大志くんがあのグループの男性陣で一番先に結婚するとは誰ひとり思ってなかっただろう。


いつも出会いがないって嘆いてたから。