ヘアセットが終わり会計を済ませ哲くんに連絡を入れる。


「もうすぐ着く」ということでお店の外で哲くんが迎えにくるのを待ちながら鏡で何度も自分の髪をチェックする。


美容室のスタッフさんたちからは大絶賛だったけど、編み込みのアップスタイルなんて自分じゃ滅多にしないから違和感しかない。


まぁ今日の主役は由香里さんだから、わたしのヘアスタイルなんて誰も気にしないだろうけど。


鏡を鞄に閉まって忘れ物がないか再度チェックをしていると一台の見慣れた車が向かってくるのが見えた。


哲くんが社会人一年目にコツコツ貯めた貯金で買った愛車だ。


「唯。お待たせ」


「哲くん。ううん、そんなに待ってないから大丈夫だよ」


車を運転するときはメガネをかけている哲くん。


しかも今日は黒のダークスーツに黒チェックのネクタイでいつもより更にかっこよく見えてまたときめいてしまう。


「唯、どうした？俺のかっこばっかみて」


「あっ、ううん。なんでもないの」


更に哲くんに惚れたなんて、恥ずかしくて言えないよ。


「あっ、唯」


車に乗り込もうとするわたしを引き止める哲くん。


そして、優しい手つきでわたしの髪にそっと触れる。