「唯。実は小沢、中学の同級生なんだ」


「そうなんだ!?すごい!偶然だね!ふふっ、じゃあ中学の頃の哲くんの話しとか聞いちゃおうかな?」


「いや、ダメ。絶対ダメ。聞いたら唯、俺のこと嫌いになる」


「ならないよ、絶対」


ふたりのやりとりがおかしくて自然と笑みが溢れた。


そんなわたしに気付いてふたりは恥ずかしそうにつられて笑い出した。


上原くんと一緒になって笑い合うなんて中学の時のわたしが知ったら驚くかな。


友達ができたなんて知ったら中学の時のわたしは泣くかな。


悲しくて、ではなく嬉し泣きで。


好きになったのが上原くんで良かった。


上原くんの好きになった人が唯ちゃんで良かった。


心から、そう思った。



【彼と秘密の口付けと】 完