「だから、普通に話しかければいいんだよ、って言った次の日だったかな?唯が嬉しそうに話しができたよって報告してきたっけ」


唯も引っ込み思案だからな、と唯ちゃんのことを思いながら愛しそうに笑う上原くん。


「まぁ、これからも唯のことよろしくな」


「はい!!!」


そう返事をすると図書館の扉が開いた。


「ごめんね、哲くん!遅くなっちゃった!」


「いや。俺も今きたことだから、大丈夫だよ」


嘘ばっかり。わたしが図書館に来たときよりも前からいたのに。


「梓ちゃんも来てたんだ!あっ、哲くん。紹介するね。この前話した小沢梓ちゃん。わたしの友達なんだ!」


ずっとひとりだった。


ひとりの方が気楽だと意地を張って、


でもそんなことあるはずもなくて。


そんなわたしにできた生まれて初めての友達。


それが唯ちゃんで良かった。