ゆっくりと首を横に振る哲くん。


「何もしなくていい。何もいらない。だけど、ずっと側にいて、唯」


その言葉にまた涙が溢れ出す。


言葉にならなくてうんうん、と頷くことしかできない。


哲くんはそんなわたしにもう一度唇を重ねる。


「こうやって、すぐに触れらる距離にいて。唯が好きだって伝えられる距離にいて。それだけで俺は何もいらないよ」


「うん、ずっと哲くんの側にいる」


「約束な」


もし、この先哲くんと喧嘩するようなことがあっても、わたしたちなら大丈夫だね。


だって、こんなにも愛してるから。


そう思っていると、またわたしは哲くんの体温を感じながらその腕にギュっと抱きしめられたのだ。


【彼とケンカと約束と】 完