哲くんが由香里さんを好きだったときもわたしが勝手に妬きもちを妬いてということは度々あったけど、哲くんとケンカするようなことは一切なかった。


哲くんはいつもわたしには優しいから。


『あれだけイケメンで優しくて一途って超羨ましい！あたしも上原くん狙えばよかった！』


『えっ！？ダッ、ダメだよ！絶対ダメ！』


『あはは、冗談冗談。それに上原くん、唯しか見てないから、狙いたくても狙えません』


『もう…驚かさないでよ』


『ごめんごめん。唯、ありがとう。話し聞いてくれて。絶対アイツの方から謝らせる！また話し聞いてね！』


そう言うと澄香は少し寂しそうな笑顔を作りながら手をヒラヒラと振りながら去っていった。


そして彼女は今はデレっとした笑顔をわたしたちに振りまいている。


「あれからアイツと徹底的にケンカして、向こうが謝ってきて今回の旅行を計画してくれたんだ」


「そっか。よかったね、澄香」


「うん。ありがとう、唯」


パッと明るく笑う澄香はとても可愛くて、上手く仲直りできてよかったと本当に思った。