「だけど、好きな子からのお菓子は別だよ。唯からのモノなら特別」


わたしからのモノは特別…その言葉がとても嬉しくて。


わたしはハロウィンというイベントに浮かれすぎて囚われていたのかもしれない。


哲くんに作りたいと思った気持ち、渡したいという気持ち、素直になっても哲くんは受け止めてくれる。


哲くんはそういう人だ、ってわたしが一番わかってるじゃない。


「ごめんね、哲くん。明日、哲くんにだけの特別なお菓子作るからね」


そう言うと哲くんはニッコリ笑って、何故かわたしをソファに優しく押し倒した。


目の前には笑顔の哲くん。


「いい、いらない」


「いらないって…」


さっきまで欲しがってたのに突然いらないと拒否され困惑してしまう。


「目の前に甘くて美味しいお菓子があるからね、それを頂くよ」


「めっ、目の前ってまさか…?」


まさか、ね。そう思ってハハハッと乾いた笑いをすると哲くんはイタズラを思い付いた子どもの様にニヤリと笑った。