「ちょっと!明美!誰ダレ!?こんなイケメン!知り合い!?」


女の友達が興奮しながら聞いてきた。


「うーん、昔ちょっと、ね…?」


昔…か。なんだか少しずつ思い出してきた。おそらく以前関係を持ったヤツだ。


女は頬を赤く染めながら上目遣いで俺を見てきた。


おそらくコレが女の男を落とすためのテクなんだろうな。


でも全く惹かれないし、逆に心が冷めていく。


「ねぇ、哲。今からふたりで飲みに行かない?いいでしょ?」


色艶のある声で、そのキラキラと輝く爪先で俺に触れる。


「悪いけど、俺、彼女いるから」


自分でも驚くくらい冷めた声で断りその場を離れた。


女は呆然と俺を見つめているけどそんなの関係なかった。


唯以外の女は、俺にとってどうでもいい存在だから。