さよなら、片思い【完】

その夜、唯の部屋でごはんを食べたあと、唯が冷蔵庫から小さな白い箱を取り出した。


そして、律の爺さん直伝のミルクティー。


「あっ、ルブルムのケーキだ。ここのケーキ旨いんだよね」


「うん、今日なっちゃんと行ってきたんだ。上原くん、ここのチーズケーキ好きでしょ?お土産に買ってきたんだ」


「ありがとう」


俺の好きなものを知ってくれている唯に嬉しさを感じたけれど、唯の次に発した言葉に心が一気に黒くなった。


「そっ、そのケーキ食べてるときに男の人から声かけられたんだ!」


声をかけられた、つまりナンパされたのだと。


誰だよ、俺の唯に近づこうとするバカな男は。


またしても出てくる独占欲と嫉妬をどうにか抑えたのは仁奈が言っていた言葉。


〝他の男と喋っただけで機嫌悪くなるし!最悪!!!〟


余裕が大事だ、余裕な心を持つんだ。


「……ふーん。そうなんだ」


あくまでも冷静を装いながらケーキを食べていく。


嫉妬はしないけどそのあとどうなったかくらい聞いてもバチは当たらないだろう。


「それで?」


「それでって?」


「だから、その後どうなったの?」


俺がそう聞くと、唯はきょとんとした顔で「なっちゃんが追い払ってくれた」と呟いた。


藤堂さん、ナイス!追い払ってくれてありがとう、と心の中ですっごい感謝をした。