さよなら、片思い【完】

とりあえずシミになってしまった制服をクリーニングに出そうとポケットの中の物を取り出した。


小銭にリップクリーム、それから…あっ、これ。


小さく折りたたんである色あせた紙。


わたしの大事な宝物。


それは何年も昔、まだわたしが小学校に上がる前、


お兄が友達の家に初めて泊まりにいくことになって、お兄が側にいないことをすごく不安だったわたしは泣き叫んで「嫌だ嫌だ」と泣きついた。


困ったお兄はノートを破るとその切れ端にこう書いた。


【お兄ちゃんがずっと側にいてあげる券】と。


その紙切れをもらいわたしは嬉しくてずっとお守り代わりに持ち歩いている。


「お兄の嘘つき…」


ずっと側にいてくれるって言ってたのに。


紙切れを眺めていると玄関からお兄の声とママの声が聞こえてきた。


わたしは会話を聞こうとドアにベッタリはりついた。


「おかえりなさい、哲」


「ただいま。ヒナは帰ってきてる?」


「さっきね。泣きながら帰ってきたけど。珍しい、あんたたちケンカでもしたの?」


「そんなんじゃないよ」


お兄はそう言うと階段を昇ってくる音が聞こえる。


わたし急いでベッドにダイブして布団を頭まですっぽりとかぶった。


コンコン…


お兄のノックした音に返事をしないでいるとお兄はゆっくり扉を開けて入ってきた。