さよなら、片思い【完】

そのとき初めて、お兄はわたしの存在に気付いた。


「ヒナ?なんでここに?」


「えっ、哲くんの知り合い?」


「俺の妹だよ。高校1年。ほら、ヒナ、この前話した彼女の唯だよ。ヒナも自己紹介して」


お兄の問いかけに答えたくなくて無言でスクールバッグを持ってお店を出て行こうとするが勢いあまって飲みかけのメロンジュースが倒れ制服にかかった。


「ヒナ!大丈夫か!?」


お兄が心配そうな声でわたしに駆け寄ってきた。


だけど、それよりも早くわたしのところに駆け寄ってきたのはお兄の彼女だった。


「大丈夫!?大変!制服、シミになっちゃう。落ちるかな、コレ…」


お兄の彼女はふきんでわたしにかかったメロンジュースをなんとか落とそうと真剣な顔でパンパンと軽く叩いている。


「っ!いいから、触らないで!お兄の彼女なんてわたし認めないから!!!」


無意識にそう叫ぶとわたしはお店を飛び出した。


お兄の顔なんて見れなかったけど、お兄の彼女が寂しそうな顔をしているのだけははっきりとわかった。


もう、ヤダ。


涙が次から次へと出てくる。


本当はわかってるんだ。


あの人がお兄の彼女だから嫌なんじゃない。


きっと誰がお兄の彼女でもわたしは納得しないんだ。


お兄、わたしのこと嫌いになったかな?


「うわぁぁん!お兄に嫌われちゃったよぉぉおお!!!」


泣きながら帰宅するとママが「どうしたの!?」と聞いてきたけど何も喋る気になれなくて無言で部屋へと入る。