ココロごと

「咲ちゃん、今日機嫌悪くない?」


駅で落ち合った大貴が耳元で囁いた。



事情を説明して、助けを求めることにした。

すると、“任せろ”と親指を勢いよくたてた。




電車を待つ咲の隣に大貴が寄っていき、肩を軽く叩いた。


「服、可愛いね」




大貴は俺が言いたかった言葉をいともたやすく口にした。同時に、胸が少し絞まる感覚がした。



心底お前が羨ましいよ。




咲はこの一言を待っていたという表情で、ありがとう。といった。





俺と大貴は顔を見合わせ頷きあった。