ガタン・・・ゴトン・・・ 電車に揺れる 2人とも、何も話さない まあそれが楽なんだけど 「なあ、早井」 「あ?」 杉山は反対の窓をじっと見たまま声を掛ける 俺も同様に窓から外の流れる背景を見る 「俺、夢ないんだよね」 「・・・・」 そんなの俺だって一緒だ いや、夢はあることはある だが、遠い昔の自分に託したままだ 「やりたいこともない。今を楽しめない。俺って一体、なんだろうね」 ははっと笑う杉山 その笑い声はとても渇いてた