「なら、帰るか。」

「うん。」



帰り道、
美衣と和樹くんは
当たり前のように手を繋ぐ。


「栞も早く彼氏作ればいいのにー」


「作らないわけじゃなくて、
できないのー」


私の決まってる言い訳。


「嘘ばっかり。
栞、何回告られたと思ってるの?
本当は好きな人がいたりしてー。」


「いないってばー。」



うん、嘘じゃない。

私に好きな人なんかいないよ。



その気持ちは
誰の手にも届かないくらい
ずっとずっと
心の奥にいれたんだから。



もう、思い出したくない。


1度鎖をはずしてしまったら、
もう二度と心の奥には
入りきらないと思う。


そしたら、今の関係は
全部こわれちゃう。


私と美衣も。
私と和樹くんも。

美衣と和樹くんも。


私はね、
2人には別れないでほしいんだ。

壊れてほしくない。

だって、2人は
私の憧れだから。