龍の背中を見送って、あたしは俯くしか出来なかった。





心の中は龍への気持ちが占めていて、追いかけたい衝動にかられる。






でも・・・それをグッと耐えて、あたしは公園の入り口のポールにもたれた。






前にもここで偶然会ったし、ここにいればサナさんに会えるかもしれない。





サナさんの家も連絡先も知らないから、こうやって待つしかない。












公園で遊んでいた子供たちが次々と帰っていく頃、「・・綾ちゃん?」・・・






サナさんに会うことが出来た。





「・・こんばんは。」





「どうしたの?こんな所で・・・」





「サナさんを待ってました・・・」





「私を?」





サナさんは動揺した顔を見せる。





「・・あたし・・・さっき龍と別れました。」





「え?!なんで?!・・もしかして私のせい??」





「・・正直言って、サナさんのせいです・・」





サナさんはあたしのその言葉に俯いた。





「・・あたし、やっぱり・・その・・妊娠とか・・そういうのを知って・・それを背負って龍と付き合うのは無理です・・・龍のことはまだ好きですけど・・・でも、無理なんです・・・」





「・・綾ちゃん・・・ごめんなさい・・・私のせいで知らなくてもいい事を知ってしまって・・・龍と別れるなんて・・・」





「あたしは・・・龍が大好きなのに・・・別れるのは辛いけど・・・でも、それ以上にサナさんと龍の間にそういうことが起こったってことが・・・辛い・・龍に執着したサナさんが大嫌いです・・・」






「・・ごめんなさい・・本当に・・・でも、私はもう龍のことは何とも想っていないから・・だから・・龍とやり直して?」