「ねぇ、何処に行くの?」

運転手の人の自己紹介が終わったので、レオの方をみて問いかけた。

「何処だっていいだろ」

車の窓に肘をついてほおづえをつき、外を見ているその顔は、にやつきを隠そうともしない。



ただ、その仕草は腕から、睫毛から、唇の間から少し見える歯さえも、すべてが魅惑的で、

神様はきっとこの人を作る時にはご機嫌がよろしくて、少し気合いを入れたのだろう、とかくだらない事を考える。



「何だよ」

また怖い目つきでこっちを睨んでくるので、あたしは何か気に障る事をしただろうか?と考え込む。

「ずっとこっち見てたろ」

ため息混じりに言いながら、レオはシートに深く座り、上を向いて目をつむった。

すると、運転手のケン君が笑いながら、「照れてるだけだから気にしないで」と言った。