数回、軽いリップ音のする程度の口づけを交わしていると、
唐突に彼が言った。
「そういえば順也からキスされた事無い」
「そりゃ、そうだろうね」
お互いに好きだと告白したのは今日だ。
普通ならそもそも、キスさえしていないだろう。
「ちょっとしてみて?」
……断る理由は無い。
短いキスだけをして、
すぐに離れようとすると、
彼は両手で僕の顔を抑え込んでまた数度、
角度を変えてキスをしてきた。
そして、離れるかと思いきや
今度はいつだかのように、
唇をペロリと舐めあげてきた。
「……いい?」
聞いてはいるけれど、
その瞳の色は有無を言わせず。といった風だ。
いいよ、と頷いて返した。



