一応、2人とも腰にタオルを巻いていた。
お湯に入る前はノーガードだったし、
今さら感はあったけれど、
何となく、そうしていた。
そのタオルの中に、
彼は足を突っ込んできた。
「ちょっと、何すんの!」
腰を引いてみはするものの、
元々後ろに背中をつけていたから、逃げ場が無い。
流石に奥までは足を入れようとはしない。
けれど、太ももに足を添えて、
それを前後に動かして擦ってみたり、
むにむにと押すように動かして
「もっと肉付ければ?
……あ、つかないのか」
そんな事を言ってきたりする。
「……もう上がろうよ」
湯船から出た。
「え、怒った?」
馬鹿にしたつもりは無いと、彼は言う。
「別に怒ってないから」
そんな事は解ってる。
怒ったんじゃなくて、
段々居た堪れなくなっただけなんだ。



