「かゆい所は無いですかー?」
「それって、今じゃなくて
さっき聞くべきなんじゃないの?」
普通は床屋なんかで言われる台詞だろう。
腕を洗われながら聞くものじゃない。
「気にしない、気にしない!」
彼は上機嫌で、しまいには鼻歌まじりに
何の遠慮も無しに僕の体を洗い上げていく
変な事はしないと言った、
その言葉の通りに、手つきに怪しい所は何もなかった。
だけど……。
「顔赤いな。
のぼせた?それとも照れてんの?」
再び僕の顔を覗き込んで、
そんな事を尋ねてくる。
今度は正面にいるので、
さっきとは違って真っ直ぐに視線が向けられている。
「……恥ずかしいに決まってるだろ?!」
上半身だけならまだしも、
彼の手は躊躇いなく下へも伸びてきていた
「はいはい。
じゃあ次は足洗うから」
まともに相手にせずに、
膝上あたりから手を滑らされる。



