今日も今は誰も居ない彼の家に 僕も一緒に帰宅する。 そしてまず手を洗い、 彼が薬を塗り、ガーゼをあて、包帯を巻く 「……これじゃ何もできないんだけど」 「……まあ、気にするな」 必要以上に手厚くされ、 きつくは無いが指が曲がらない。 ……家に帰ってから直せばいいか。 「で、まあさっきの話だけど」 真に受けていいのかと、彼に問われる。 「それはこっちの台詞だよ」 言い逃げされて、どんな気分だったか。 それを言うと、曖昧な相槌が返ってきて 少しの間、静寂がこの部屋に訪れた。