「……で?」 車内に乗り込んで、 何故か隣に座る拓真に尋ねた。 どうして、いるの? 「え、これに乗るんだけど何か?」 「何か?って……」 そして思い出す。 家で見送る母さんと、 さっき別れた父さんの、 何かを含んだような、笑顔を。 ……僕、何か仕掛けられてた? 発車した直後、受信したメール。 送信者は岩倉さん。 そしてもう1度、 『ごめんね!』と、それに続いて 『お幸せに!元気でね!』と笑顔の絵文字。 ……間違いない、彼女も知っていた。