「何、受験?落ちんの怖いの?」

今からそんなに思いつめんなよと、
慰めるように頭を撫でてくる。


「……そうじゃなくてさ」

まあそれも心配だけど。


「じゃあ、何?
 もしかして俺と離れたくないとか?」


「………………」


「……図星?」


無言で、頷く。



「うわっ、可愛い事考えるなー」

ぐりぐりと、手の力を強める。

ついでとばかりに頬ずりもついてきた。


「だってさ!……拓真は嫌じゃないの?」

「一緒に居られればそりゃ、
 そっちのがいいに決まってるけどさー」


そう上手く行く事ばっかじゃないだろ。



そんな風に言う彼は、
もしかすると僕よりも大人かもしれない。