「遠距離恋愛なのかなー?」

机を挟んで、岩倉さんと向かい合い、
そしてお互いに進路希望書を持っている。
これが、最終確認になる予定の紙だ。


「順也君の第一、隣の県だっけ」

ピラ、と僕の紙を弾き上げ、確認する。


「うん。岩倉さんも、隣のだね」

「そう、逆隣りね!」

しくったなーとか笑っているけれど、
それは他のクラスメイトと、
離れ離れになるのを残念がってたのと同じ顔だ。


「それで、拓真と離れちゃうのを、
 ちょっとためらってる感じ?」

「うん……。
 これで出す予定ではあるんだけど」

僕の場合、第一と第二志望が遠く、
第三は県内だけれど、レベルが落ちる。
ぶっちゃけ滑り止めだ。

県内で進学先を選ぶとしたら、
そのまま繰り上げる事になるので……。

一度それを考えた事もあるけれど、
親と教師に猛反対をされた。