……昨日の夜から、拓真は家に来ている。
例によって、彼のご両親が留守だからだ。
そんな朝食の席で、
彼は何でかとりあえず、
自分の分を僕に渡してきた。
僕の分は、
今フライパンで焼かれているのに。
「ハムか卵かどっちかで十分だから」
そんなに食べないから。
いらない。
皿を戻す。
「いやいや、身長の前に細いから」
伸びたら横幅無くなる。
皿を押しやる。
「さすがに無くなりはしないよ」
戻す。
「えぐれたシルエットになるって」
出す。
「大丈夫だってば」
戻す。
「そうだな、もうすでにだもんな!」
出す。
……負けた。



