「ちょっとそこのバカップルさん!」

そう声をかけられたかと思うと、
ていやっ!っという掛け声と共に、
拓真が背中を押され、というか殴られ、
その勢いのまま彼の唇は僕に……


デジャブだ。


というか、紛れも無く体験している。




2人で口を押えながら、
声をかけられた方を見ると、
そこには岩倉さんが立っていた。
傍らには、箒が置かれている。


「こんな所でさー、
 誰かに見つかったらどうするの?」

呆れた様子でそう言った。


「いや、来ないだろ?こんな所」

「来てるじゃん。今まさに、私が」


「……何で?」

「箒片付けに」


「え、何で?」

「掃除当番だからに決まってるでしょ」


さらに呆れ顔の岩倉さん。