「……先に戻っていい?」
「ダメ」
「じゃあせめて1本でいいから持たせて」
傍から見ても、どう見ても、おかしい。
これじゃまるで、
僕が持たせてるみたいじゃないか。
そう訴えると、
しぶしぶ1本、僕に戻ってきた。
いっそ半分持たせろと言えばよかった。
掃除用具置き場まで、彼の少し後を歩く。
……伸びたな、さらに。
彼は丁度今が最大の伸び期なんだと思う。
そうじゃなかったら伸びすぎだ。
本人はまだまだ伸びる気でいるけれど、
これ以上成長されると困る。
見上げなきゃいけないようにはなりたくない。
僕にも成長期、もう1回来ないだろうか。



