「なんだ!!!!!」

俺は反射的に立ち上がった。


紘佑はすでに女子を教室の後ろへゆっくり誘導している。

「絶対に叫ぶな!!

死ぬぞ!!」

冷たい声がしたと思うと、教室の後ろで筋トレをしていた水城がTシャツ姿で前に出てきていた。


何なんだよ…

震えがとまらない…

「誰だ!!!

喧嘩なら買ってやるぜ!!」

水城が関節をポキポキならしながら言った。

危ない…
そんな予感が教室を渦巻いていた。

「いくらそんなこと言ったところで無駄だ水城…

それで出てくるぐらいなら最初から中に入ってくるはずだからな…」

ようやく目を覚ました利輝が水城の横に立った。

利輝は水城と幼い頃からの悪友だ。だから水城と普通に話せる。

「大正解だよ今村利輝くん。

僕はもう中にいる。」

教室の後ろ、つまり僕の真後ろから声が聞こえた。

声からしてまだ10代ぐらいの男の子だろう。

僕はゆっくりと振り返った。

「くそっ!

いつのまに!!

雅也!

翔弥!」

利輝が俺に向かって叫んだが俺はすでに声の主の姿をとらえていた。

こどもだ…

「そんな大声出さないでよ…

うるさいじゃん!!」

少年は迷惑そうな顔をした。