走りだそうとした足を止め振り返ってみると 彼はこの前と同じようにベンチに座って本を読み始めていた 「…あの、あなたは戻らないんですか?」 先生が休みだって知ってるってことは 郷田先生の授業受けたってことだよね? 「あんたに関係ないだろ」 彼は鬱陶しそうに私の方を見て言った その目にビクッとしたけど 「…すいません。 でも、3年生ならこんなとこでサボってちゃいけないんじゃないですか?」