小悪魔れんあい



「やーん、叫心かっこいい~!!」


突然後ろから聞こえた声に、叫心の耳はでっかくなった。そして、びっくりして後ろを振り返った。


「あ、暁羅!」

そこには、全然出番のなかった暁羅が立っていた。


「叫心かっこよすぎー、あたしファンになっちゃうかも~」

棒読みでスラスラと、笑いながら話していく暁羅。暁羅なりに、きっと叫心のことを励ましてる…に違いない。


「ま、叫心が麗奈を手放すとは思ってなかったけどな!」

「当たり前だろ!俺、教室でお前ら見たとき…より戻したんだって思って、マジでショック受けて…」


と、段々小さくなってく声で話す叫心。
きっと、あのとき教室で偶然会ったときのことを言ってるに違いない。


すると、そんな叫心に暁羅は思いっきり背中をたたいた。


「奪ってやろうと思ったけどさ!俺もう卑怯な真似したくねぇんだわ」

「暁羅…」

「奪うときは、正々堂々と行くからよ!」

「お前…!」


隣で何故か涙する小林君に、あたしもつられて泣きそうになってしまった。




「ぎょ…しん…」

「ああ?お前なんで泣いてるんだよ!」

「感動いたしました…。それより、もうすぐ試合です…」

「あ、そうだった!」


小林君と叫心は慌てて試合の用意をして、スパイクに履き替える。


「次勝ったら、全国行き決定なんだ」

「じゃ、あたしも頑張って応援する!」


あたしがそういうと、ははっと笑う叫心。

その笑顔をまた、見れて本当に良かったと。今、心からそう思った。


そして、グランドへ向かう叫心。
その叫心の背中を見送ってから、あたしは観客席へと足を運んだ。