小悪魔れんあい


「えっ…?」

「叫心さ、あのバスケの試合の時と同じ。高橋の応援がないから、あんなに凹んでるんだ」

「…うそ…」

「ウソじゃない。あいつは好きな子からの応援がないと頑張れない、へタレなんだ」



叫心…。
違う、違うよ。叫心がヘタレだなんて。そんなこと、絶対にありえないもん。

だって、いつもあたしを守ってくれた。守りきれなかったときは、いつも以上に優しくしてくれた。


あの別れのときだって、守ってくれた。家まで送り届けてくれた。



全然ヘタレじゃないよ。
むしろ、…かっこいいよ…!



「きょうっ…しんっ…」


久しぶりに呼ぶその名前。
あたしは、その言葉にすこし緊張しながらも必死に声を出す。



「……れ、い…な?」


あたしの声に反応してくれた叫心。
椅子から立ち上がって、こっちに向かって歩いてくる。


「叫心っ、…また応援遅くなった、よね」


もう言葉にならない。
言葉が、言葉でなくなる。だけど、伝えたい。


涙はとまらない。震えもとまらない。


だけど、叫心を応援したい。
ずっと、ずっとあたしだけが応援したい。





「叫心、頑張れっ…!」



やっと言葉にできたそのセリフ。
応援することは、あたしの得意技だったのに。どうして、なかなか出来なかったんだろう。


どうして、恐がってたんだろう。



あたしの応援を聞くと、叫心は涙を一粒流しながら笑った。




「その言葉、もう聞けないと…思ってた」



そして、強く。
強く、あたしを抱きしめてくれた。