試合場に着くと、小林君が慌てた様子であたし達を迎えてくれた。
「高橋!!遅いって」
「!?」
今度はわけも分からず、あたしは小林君に腕を引っ張られていく。暁羅は後ろでニヤッと笑顔で手を振っている。
「遅いって、…あたしと叫心別れたんだよ…?」
「…知ってるよ」
あたしの方を振り返らずに、返事をした小林君。…だったら、呼ばないでよ。
会ったら、余計会いたくなるんだもん。
離れられなくなるんだもん。
「でも、どうしても高橋が必要なんだ」
「…あたしが?」
「…うん。」
どこへ向かって歩いて行っていたのだろうか。遠い向こうの方から見えた看板は、"選手控え室"と書いてある。
そして同時に、誰かの叫び声のような金切り声が聞こえてきた。
「え、ここって…」
「そ。俺らの控え室」
入り口のすこし手前であたしは待機するように言われた。小林君はそのまま進んで、ゆっくり扉を開けた。
すると、中には怒りに満ち溢れている様子の真実さん。
そして、タオルで頭を隠し、椅子に座っている人の姿が見えた。
もちろん、タオルの人が誰かだなんてすぐに分かる。だって、…。だって。
あたしがずっと思い浮かべてた人。
叫心に決まってる。
「叫心!何、あのパス!」
「…」
「誰もいないとこにパスするなんて、馬鹿じゃないの!?」
「…ごめん」
「何よ!謝るなら行動に示しなさいよ!」
二人は言い合いしてるのだろうか。
だけど、どうしても叫心が元気なさげに見えるのはあたしの勘違いだろうか。
すると、小林君が軽くあたしの背中を押してくれた。

